問題多いインナー竿と逆テーパースプール
一時期インナー竿が脚光を浴び、数釣りの大会でも良く見掛けたが最近では殆ど使用している
人が少なくなった。 私も飛びついて買った経験があるが、クラブの先輩は「使い物にならんやろ」
とか「メーカーの罠にはまったな。」などと言って買う人は少なかった。
私も1回使っただけで人にゆずってしまったが全く惜しい気は起こらなかった。
元々インナー竿は船竿では50年以上前から製品があったが、穂先のガイドによく道糸が絡む
船釣りでは有効な竿であった。
その中通し竿のデザインを一新した船竿の新製品が数年前に発売され、たしかに船釣りでは
糸絡みのトラブルが減少したことからヒット商品になり、大いに売れ、味をしめたメーカーは
デザインの変更のみの新製品からの脱却も兼ねて、磯竿や投げ竿にも中通しを採用しその
トラブルフリーの有利さをアピールし開発にしのぎを削った。
しかし、中通しの投げ竿は発売当初はそこそこ売れたが、すぐに釣り人が欠点が多い事に
気付き、現在では販売は低迷している。
その欠点とは、@ 道糸にゴミが付着しやすい投げ釣りではそのゴミがすぐに中通し部分に詰まる。
A 道糸(特にPE)ががばっとリールからかたまって出るトラブルが発生するとダンゴ状態の道糸が
中通し部分に詰まる。B 詰まると取り除くのに大変手間取り、特に大会中にトラブると致命傷になる。
C 中通し部分の抵抗が大きく、Aの道糸がかたまって出るトラブルを誘発しやすい。
少しでもゴミや切れた道糸が中通し部分に残っていると更に抵抗は増加し悪循環になる。
D メーカーでは「糸ふけが少なく、すぐにサビキ動作に移れる」などとアピールしているが、
それだけ投入時の抵抗が大きい事を意味しており、飛距離は落ちる。
E 糸を通すのに手間取る。一部の竿では誘引ワイヤーが必要。
ほぼ以上の欠点により、高価なPEが竿の中に詰まるトラブルが頻発し竿の修理やクレームが
後を絶たず、困ったメーカーがPEが「がばっと」出るトラブルを防止すべく、
開発したのが例の「逆テーパースプール」です。
たしかに逆テーパースプールを使う.とスプールエッジに対する道糸の擦れ抵抗が増えて
「がばっと」出るトラブルは激減しますが、言い換えればスムーズな道糸の放出にブレーキを
掛けているのであって、これも飛距離を重視する投げ釣りの意味をメーカーが「判っていない。」
「飛距離度外視」といわざるを得ません。
インナー竿の唯一の良い所は竿をスゥイングした時に竿のねじれが発生しない事ですが
これも昨今のLRを始めとする多点、シャコタンガイドによって解決されてしまいました。
おまけにLR装着竿ではライントラブルは殆ど発生しなくなり、ますます逆テーパースプール
のリールの必要を釣り人は感じていないのにメーカーは未だにメインで販売を続けています。
先輩の言葉を思い出し、
「メーカーの製品開発の経過を冷静に見つめ、一時的な流行に惑わされないように」
と思う昨今です。